なっつゴト。

50代のささやかな日常

バレンタインと言えば

片思いしてた。

中学3年間同じ人に。

最後まで片思いで終わった。

 

当時は“友チョコ“だの“義理チョコ“だの、そんなやわなもんはなく、

バレンタインと言えば本命一本でチョコを渡す決死の日だった。

それはもうみんな、この日に思いを伝えなければ女が廃る!くらいの意気込みだった。

 

なぜかモテる人だった。

特に目立つわけでもなく、面白いとか、顔が際立っていいわけでもなく。

(私は面食いではない)

子供心にもどことなく色っぽいというか、不思議な魅力のある人だった。

 

「何組の誰ちゃんもHのことが好きなんだってー」

「何組の誰ちゃんこの間告白したらしい」

そんな要らない情報も年中聞いたな。

 

クラスが違うから会話なんて出来るはずもなく、ただ廊下や朝礼のときに姿を見られることがとてつもなく幸せだった。

無理やり視界に入って「こっち見たよ」なんて友達に耳打ちされるともう有頂天(バカ)

名前と顔くらいは知ってるだろうけど私なんて恐らくほぼ認知されてない存在だっただろう。

 

バレンタインが近くなると

「ねえ。渡すの?渡すよね!?」

「私もK君に渡すから頑張ろうよ!」

渡したからって何も変わるわけないと今なら思えるが、その時は渡したらホワイトデーにはお返しが来てきっと付き合いが始まる♡

そんな単純な脳だった。

 

【1年目】

自宅にピンポン。

本人不在。

妹さんに託したら「あんたのお姉ちゃんうちのお兄ちゃんの事好きなんだって」と言われたと、同級生だったうちの妹にこっぴどく怒られた。

 

【2年目】

休み時間の度にチョコを持ってH君のクラスの前をウロウロした。が、常に先客に阻まれる。

番号札でも発行してくれよw

放課後までチャンスがなく仕方なくH君の部活中に彼のスポーツバッグに押し込む。すでにチョコらしきものでいっぱい。

喪失感でいっぱいのかわいそうな14の私。

 

【3年目】

ラストチャンス!卒業も近い!もう時間がない!(懲りてない)

帰り道に待ち伏せして2人きりの機会で渡したい!と思った。

彼はこの年引っ越していて家が遠くなり、帰りは途中から1人になるのだ。

下校時間、下駄箱から出ていくのを確認すると友達と先回り。1人になるであろう道で待つ。

 

来た!

 

 

え?自転車?

しかも猛スピード!(野球部)

声かける間もなく走り去る。

 

遠くなった彼は内緒で途中まで自転車通学してたのだ。

 

「どうすんの、どうすんの」

「行っちゃうよー」

 

あまりの出来事に完全に戦意喪失。

 

「もう、いいや」

「え?家まで行けば?せっかく作ったのに」

 

道端で2人になったらあれやこれを話したい、

そんな頭だったから

もう切り替えられない。

 

「いいよ、帰ろう」

 

渾身の手作りチョコは私と親友の胃袋に収まった。

涙の味しかしない。

 

 

結局、卒業式後に呼び出したけど来るわけもなく振られたのでした。

あとで分かったけど、私の友達のとある子が好きだったそうです。

時々ほんとに“こっちを見てる“ことがあったのはそのせいだったのでした。

 

今考えると【初恋ごっこ】みたいで。

楽しかったな。

可愛かったな。

バカだよな。

 

恋してる自分が楽しくて仕方なかったあの頃。